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遠くにある高い山の、頂にある桜も美しく咲いたことだ。人里近くにある山の霞よ、どうか立たずにいてほしい。美しい桜がかすんでしまわないように。
ことば†
- 【高砂(たかさご)の】
- 「高砂」は、高く積もった砂だということから「高い山」の意味です。播磨国(現在の兵庫県南西部)にある高砂とは違います。
- 【尾(を)の上(へ)の桜】
- 「尾の上」は「峰(を)の上」ということで「峰の上」、つまり「山頂」「いただき」を意味しています。
- 【咲きにけり】
- 「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形で、「けり」は感動の助動詞です。「咲いているなあ!」という詩的な感動を表します。
- 【外山(とやま)の霞(かすみ)】
- 「外山(とやま)」は人里近い低い山のことです。「深山(みやま)」などに対する言葉です。「霞(かすみ)」は立春の頃にたつ霧のこと。春にたつのを「霞」、秋にたつのを「霧」と呼びます。
- 【たたずもあらなむ】
- 「なむ」は願望の終助詞で、「立たないでいてくれ」という願いを詠っています。遠くの高山の桜があまり美しいためです。
前中納言匡房