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私の袖は、引き潮の時でさえ海中に隠れて見えない沖の石のようだ。他人は知らないだろうが、(涙に濡れて)乾く間もない。
- 【潮干に見えぬ沖の石の】
- 「潮干(しほひ)」は、海の水位が一番低くなる引き潮の状態のことを言います。「見え」は下二段動詞「見ゆ」の未然形、「ぬ」は打ち消しの助動詞「ず」の連体形です。また、「潮干に見えぬ沖の石の」は、次の「人こそ知らね乾く間もなし」の序詞です。
- 【人こそ知らね】
- 「他人は知らないけれども」という意味です。「人」は、取り方によっては、「恋人(相手)」とも「世間の人々」ともとれます。「こそ」は強意の係助詞で、「ね」は上の「こそ」の結びで打ち消しの助動詞「ず」の已然形です。「こそ~已然形」で次に続いていくと、逆接の意味になります。
- 【乾く間もなし】
- 最初の「わが袖は」を受ける言葉です。「も」は強意の係助詞です。
二条院讃岐