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読み方†
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
月を見ると、あれこれと物悲しくなります。自分一人だけに訪れた秋ではないのだけれど。
- 【月みれば】
- 「月を見ると」という意味。「みれば」は確定条件を表します。
- 【ちぢにものこそ悲しけれ】
- 「ちぢ(千々)に」は「さまざまに」だとか「際限なく」という意味で、下の句の「一つ」と対をなす言葉です。「もの」は「自分をとりまくさまざまな物事」ということです。「悲しけれ」は係助詞「こそ」を結ぶ形容詞の已然形です。
- 【わが身一つの】
- 「私一人だけの」という意味で、本来なら「一人の」ですが、上の句の「千々に」と照応させるために、「ひとつ」になっています。
- 【秋にはあらねど】
- 秋ではないけれども、という意味。上の句と下の句で倒置法が使われています。「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形で、「ど」は逆接の接続助詞です。
大江千里