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意味

「大空をふり仰いではるか遠くを眺てみると、今私が見ている月というのは、かつて奈良の春日の三笠山の上に出ていた月と同じ月なのだなあ」

背景

『古今集』には、中国での長年の留学生活を終えて帰国する、その惜別の折に月が美しくのぼったのを見て詠んだとあります。

この歌を詠んだ時点で、阿倍仲麻麿は遣唐留学生として17歳で入唐してからすでに30年の歳月が流れていました。

いよいよ帰国という時に詠まれたこの歌には、異国との友との別れがたい思いにも勝り、故郷への思いがあらためてこみあがっているのが感じられます。

感想

転校、留学、転勤など、故郷を離れて別の地に移り住むことは何かとあり、住む場所が変わると文化や習慣も変わり、新鮮であると同時に少し寂しい感じもします。

そんな中でも変わらないのは、故郷からも見えていた月の姿。趣もありつつ、さらには余裕を感じさせる歌です。ただ、この歌詠んだ後の仲麿の運命を知るとあまりにも悲劇的で切ない感じがしますね。

作者

安倍仲麿


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Last-modified: 2023-09-19 (火) 09:11:54