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意味

わたしは「こんなに愛している」とさえあなたに伝えることができずにいるのですから、ましてや伊吹山の(燃えるような)さしも草ではないけれども、私の想いがそれほど(燃えるように映るさしも草ほど)までに激しく燃えていると、あなたはご存じないでしょう。

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かくとだに
「このように」の意味の副詞。「だに」は程度の軽いものをあげて重いものを類推させる副助詞で、「~すら・~さえ」の意味。「かく」は、この場合は「こんなに私があなたを恋しく思っている」ことを示す。「と」は、引用を表す格助詞。「このように(あなたをお慕いしていると)さえも」の意味を表す。
えやは伊吹の
「え」は副詞「得(う)」の連体形で、反語の係助詞「やは」を従えて不可能の意味。「えやは~いふ」で「言うことができない」となるが、「いふ」を「伊吹(いぶき)」と掛ける掛詞になっている。また、「伊吹山」は現在の岐阜県と滋賀県の国境にある山。
えやはいぶきの
「え」は、否定の語(ここでは「やは」)をともなって不可能を表す呼応の副詞。「やは」は、反語の係助詞。「えやはいふ」で、「言うことができない」の意味。「いぶき」は、掛詞で、上を受けて「言ふ(連体形)」、下にかかって「伊吹」を表す。伊吹は伊吹山のことだが、滋賀県と栃木県に同名の山があり、どれを指すかは不確定。 さしも草 ヨモギのことで、お灸に使うもぐさの原料。また、伊吹山の名物。「伊吹のさしも草」は下の「さしも」に掛かる序詞。
さしもしらじな
「さ」は指示の副詞で、そのようにの意味。「し」と「も」は強意の助詞。「な」は詠嘆の間投助詞、または終助詞で、「これほどまでとはご存知ないでしょう」の意味。 燃ゆる思ひを 「燃えるようなこの想いを」というそのままの意味。「ひ」は「火」に掛けた掛詞、「さしも草」と「燃ゆる」と「火」は縁語。また、「思ひを」は前の「知らじな」にかかる倒置法。

作者

藤原実方朝臣


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Last-modified: 2023-10-24 (火) 10:55:36