恋しい人とついに逢瀬を遂げてみた後の恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど、無いに等しいほどのものだったのだなあ。
|【逢ひ見ての】:「逢ふ」も「見る」も、男女が逢瀬を遂げたり、契りを結ぶ意味で使われる動詞です。
|【のちの心】: 逢瀬を遂げた後の気持ちです。今現在の心のことですね。
|【くらぶれば】:「比べると」の意味で、動詞「くらぶ」の已然形に接続助詞「ば」がついたもの。確定の条件を表します。
|【昔】:「のち」に対応する言葉で、逢瀬を遂げる前のことを表します。
|【ものを思はざりけり】:「ものを思ふ」は恋のもの想いをする意味です。「ざり」は打消の助動詞の連用形で、「けり」は詠嘆の助動詞で、逢瀬を遂げる前の恋心なんて軽いものだということに、今はじめて気付いたという感動を表しています。