雲早隧道

 くもそうずいどう。土佐と阿波の間にひっそりとかかる架け橋の道、R193。その峠にたたずむ隧道。

アプローチ

国道193号を438号から南下する。高知県側なら国道195号から分岐。

 写真の技術がないうえに携帯のカメラなので雰囲気を伝えきれず申し訳ない。この日はいわゆる酷道ばかりを走った日であり、ここもそのひとつ。急峻な道は剣山スーパー林道とも交差し、徳島県と高知県を結んでいる。平均一車線かそれ以下という「非常に距離を伸ばし辛い道」であるが、いかにも四国という雰囲気だけならムンムンである。

 そんな土地を進んでいくと、雲早隧道はある。

徳島県側坑口

 竣工は昭和42年である。

 坑口は至ってシンプル。今風のトンネル名もあるが、覆額には往年の隧道名が誇らしく刻まれている。

 石碑の文章は以下の通り。高知営林署からの委託があった事、両側の町村の協力があった旨が書かれているようだ。

関連林道木沢神山線完成記念
 
この林道は、高知営林局が森林開発公団に委託し、昭和?十七年七月着工、総延長11,290米、総工費二億一千万円余の??を投下、幾多の困難を克服して、この程完成をしたものである。
 本路線は、往古(おうご)より土須峠を越える狭あい(狭隘(きょうあい)?)なる歩道により木沢・神山両町村を結ぶ経済交流の主要路として長い歴史を有していたもので、(これ)が車道の開通は、関係住民多年の悲願であり、木沢と徳島を最短距離で結ぶ道路として、更に海南町より香川県高松市に通ずる四国横断道路の中心路線で開通の意味するところは、両地域の無尽蔵の森林資源の開発をはじめ、産業、交通文化の向上、観光資源の開発等、その果す役割は実に大なるものがある。
 こゝに、本線の開通を祝し、併せて特にご尽力いただいた関係各位、及び直接間接に協力を賜った方々に対し、両町村民と共に永くその功績を頌え、感謝の意を表し、この記念に碑を建立するものである。
 昭和四十二年三月
  木沢神山線開発促進期成同盟会
    木沢村長 東山 正胤(まさたね)
    神山町長 松本 千一~

高知県側坑口と道路他

 剣山スーパー林道の途中に少し絡んでいるので、坑口部分は見たことのある遠方のバイク乗りも多かろう(ていうか、 こんな辺鄙な土地まで来てスーパー林道も走らないのは地元民と変な道マニアと登山者くらいだと思う )。

 この先の高知県側は急峻になるが路面はそう悪くない。しかし古い規格なのでガードレールなんてない区画の方が多いしほとんど1.0車線かそれ未満、天候が悪いと容易に通れなくなるだろうし行楽シーズンは紅葉狩りのドライバーで大変なことになると思うので要注意である。

 ……で、さらに下ると大釜隧道に続く。

※県道でも町道でもない。あくまで現役の国道193号線である。