荷瀧隧道

ただ見ただけだと「へー素彫り、へー」で終わるだけの隧道。しかし

荷瀧隧道

 国道194号線の脇に唐突に、盲腸のような旧道と共に残されている隧道。確かに素彫りでいい雰囲気だが、おそらく見ただけでは「ふーん」で終わりだろう。たった3mしかない隧道でインパクトもない。これが 大釜隧道みたいに現国道なら目をひん剥くところだが(ていうか、それだと現状日本一短い国道トンネルだと思う)、現状はそうでもないだろう。
 この隧道のものすごさは、バックボーンにある。

いろいろ

 昭和19年竣工。昭和51年に新トンネルも通るが、いろいろあって昭和53年までは国道194号線の一部であり続けた。

 ところでそこの貴方、これの道幅(一車線)なのをどう思います?439国道とか、旧寒風山隧道の高知側の登りなんかと同じ一車線ですよね。ここは簡易舗装ですが、旧山王隧道なんかは未舗装です。

 実は、昭和40年代~50年代前半くらいまでは少なくとも、国道194号はこんな道ばかりだったのです。現在ではあの国道439号ですら一部区画でしかないこの手の領域が、当時はほとんど全面に渡って広がっていたようです。この小さな隧道はその名残りのひとつなのです。

 また、この岩の上には神社があり、この岩自体もご神体の一部のようです。おそらくはそれが、今もなおここを現道に併走させている原因なんだと思われます。