百人一首

忘れ去られるわが身はかまわない。だけど(愛すると)誓った人の命が惜しまれてならない。

詳細 38

情報源: https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1189/

【忘らるる】 「忘(わす)る」は下二段活用の動詞ですが、ここでは古い形である四段活用で扱っています。「るる」は受け身の助動詞の連体形で、「忘れ去られる」という意味です。

【身をば思はず】 「身」は自分自身のことで、「を」は格助詞、「ば」は強意の係助詞「は」です。「を」に続く時には濁って「ば」となります。 「ず」は打消しの助動詞の終止形。ここで一文が終わります。 全体で「自分自身のことは何とも思わない」という意味。

【誓ひてし】 「て」は完了の助動詞「つ」の連用形で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形です。以前、いつまでも君のことは忘れない、と神に誓った、という意味です。

【人の命の】 「人」は自分を捨てた相手のこと。上の句の「身」と対比的に使われています。 【惜しくもあるかな】 「惜し」は(男が神罰を受けて命を落とすので)失うにしのびないという気持ちを表します。

作者

右近(うこん。生没年不明) 右近少将藤原季縄(すえなわ)の娘。10世紀前半の人で、醍醐天皇の中宮穏子(おんし)に仕えた女房です。「右近」はその女房名です。天徳4(960)年の内裏歌合などに出て活躍し、歌才を謳われました。恋も華やかで、「大和物語」には、藤原敦忠(あつただ)・師輔(もろすけ)・朝忠(あさただ)、源順(みなもとのしたごう)などとの恋愛が描かれています。


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