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意味

奈良の吉野の山の秋風にしだいに夜もふけてきて、かつて都があった吉野の里は寒々しく、衣を砧(きぬた)で打つ音が身にしみてくることだ。

作者

|み吉野の : 吉野は、桜の名所として名高い今の奈良県吉野郡吉野町を指す。「み」は、美称の接頭語。

さ夜更けて 「さ」は、語感をととのえる接頭語。「夜がふけて」の意味。 ふるさと寒く 「古里(ふるさと)」は古都の意味。「寒く」は、ク活用の形容詞「寒し」の連用形で、「ふるさと」の述語であり、「衣うつなり」にかかる修飾語でもある。よって、かつて離宮があった吉野がさびれていることを示す。 衣打つなり 「うつ」が、タ行四段活用の終止形であることから、「なり」は、伝聞推定の助動詞「なり」の終止形。女性が夜にした仕事で、砧(きぬた)という柄のついた太い棒で衣を叩き、柔らかくして光沢を出した。よって「衣を打つ音が聞こえてくる」を意味する。


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