変なセリオの話1

 来栖川HM-13セリオ。家庭用ロボットのヒット商品として有名な『HM-12マルチ』の姉妹機である。

 モデル的には妹にあたるらしいがセリオの方がお姉さんに見える。だがこれは仕方ないことで、セリオは一般家庭むけというにはいささかズレている。価格も性能もだ。それゆえにOLと混じっていても違和感がない程度の外観が必要だったのかもしれない。老若男女に愛されるよう子供っぽい姿が選ばれたマルチとは設計思想が違うのである。

 とまぁ、そんなことを考えていた時期が僕にもありました。ええ。ネタじゃなく。

「大将、大将〜」

「だから大将はよせってば!君はもう!」

「なんでです?だって『ご主人様』って呼んだら変態みたいだからやめろって言ったのは大将ですよ?」

 それはねセリオ。僕がオタクっぽい外観の人間だからなんです。今の御時世、そんなつまらないことでも通報されたり警察に睨まれたりするんですよ。京都府警のハザードマップに載ったりしちゃうんですよええ。いやな世の中だけどね、これも処世術なの。

「いえ、オタクっぽいのでなく大将はオタクですが?」

「なぜそこで断言する?」

「いやですねえ。はっはっはっ」

「なぜ笑ってごまかす。ロボットならロボットらしく理路整然と説明するのだ、ほら三、二、一、はい」

「そんなどこぞの水泳妹キャラみたいないい方するからオタクなんですよ」

「それを知ってる君はなんだ。それとも元いたごみ捨て場に戻りたいですか君は」

「いいですよ〜大将の小銭しか入ってない預金通帳もいっしょに」

「だぁぁぁもうっ!」

 あぁぁぁ、ご近所の皆さんが生温かい目で見てるし。もう!

 でもまぁ、少し前までよりはマシなのかもしれない。最近は近所のおばちゃんとか挨拶してくれるもんな。以前ならあからさまに不審者を見る目つきだったのに。

 そう考えるとウチのアホセリオも立派に役立っちゃいるんだけどね。

 そう。これが僕のセリオ。

 ごみ捨て場で拾って再生した。名前はない。いや、セリオでいいだろセリオで。

続く



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