死を目前にしたひとりの凡人の願った『ヒーローになりたい』という遠すぎる願い。それはずいぶんと予想斜め上の形で叶えられた。
「ありがとうお姉ちゃん」
「……ちがう。おじ……いや、おにーさんだ」
「えええ？だってお姉ちゃんだよ？」
「……ちがうってば orz」
「ほほー。われらが街のヒーローのお悩みは、性同一障害と。ふむふむ」
「違う！そこ記録すんな！ナニ報道する気だ！」
彼女は正義の味方だった。
いたいけな少女の姿だが街のヒーローであり、しかしその正体は謎に包まれていた。肉体がドロイドなので重サイボーグであろうとは言われていたものの、巧みに姿を隠してしまうので誰もその素顔に迫る事ができなかったのだ。
だがその実態とは──。
「くっ……。もう本体の方が保たねえよな。畜生、何がヒーローだよ……」
平凡な老エンジニア。一生の終わりに一度だけ夢見た「ヒーローになってみたい」という願い。
ある日偶然にも彼は、終戦でダブつき廃棄予定となっている休眠中のドロイドを発見する。だがそれは少女タイプの肉体であり、彼の国では異性のボディに乗り換える事は特例を除き違法であった。
「要するに入らなきゃいいんだろ？入らなきゃ」
彼は、その少女タイプのボディを自分の分身として設定した。それは彼の命を削る行為でもあったが、それでも彼は止まらなかった。
「だって夢がかなうんだよ？小娘だろーが地球外生物だろうが知ったことじゃないさ。おれはヒーローになるんだ！」
『スカラベ』。
近日公開！……するかな？いや、そのうちかな？うむ、いつかきっと公開……するといいなぁ ^^;
「うわわ、くるな変態！(泣」
(おわり)