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アマルー挿話『人と猫の邂逅』

『アルカよ応答せよ。われはアマルー中央連合の聖女王なり。アルカに住まう知的生命体に友好の挨拶(メッセージ)を贈りたい。アルカの者よ。わが声に応えよ』
 
 21世紀のとある日。アマルーと名乗る『猫人間型宇宙人』の集団が突如として地球に来訪した。
 1982年の日本で起きた異星人によるテロ事件より、未知なる外的の存在にビクつきながらも旗のたてあいに終始するばかりだった地球圏の有力政府は軒並み震え上がる事になった。彼らは地球人同士の権力争いに体よくアマルーを組み込もうとしたがことごとく失敗。ひとの形をしているとはいえ彼らの本質は猫そのものであり、地球人が考えるよりもはるかに能天気で、怠惰で、そして残酷だったから。
 地球圏の小さな損得にも振り回されない彼らは実にマイペースだった。それは仔猫を見守る母猫の余裕にも似ていた。彼らは敵対しない限りとても優しく、少々の「おいた」はあまり気にしなかった。そして論外の馬鹿者が現れた時にだけ凶悪な肉食系知的生物としての貌を覗かせるわけで、異生物との知的交流経験のない地球の既存の支配者層は軒並み対応に苦慮する事になった。
 だが、子供たちはそうしたアマルーの性質を素早く見抜いた。もとより「人と猫」は利害さえ一致すれば非常に相性のよい組み合わせである。世代交代と共に新しい子供たちが突破口となり両者は急速に馴染みはじめ、やがてじわじわと地球人は「猫宇宙人」アマルーの存在を本当の意味で受け入れ始めた。
 そして、何とか初期のパニックが収まりつつあったある日。
 ひとりの若き白猫アマルーが、壊れた宇宙船と共に小さな島国に漂着した……。
 
 アマルー族に焦点を据えた『α』番外編シリーズの一作、ここに公開!

 ……は、たぶんものすごく未来の話です。すみません(汗)



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