特殊な構造のHDDを複写する

これはなんの記事?
めんどくさいPC引越し
作業手順
新ディスクの入手
新ディスクの接続
gPartedでコピー→失敗(DtoD領域の問題)
SelfImageを使う。
ふたたび gPartedで調整
ディスク交換
起動
感想

これはなんの記事?

 DtoD領域をもち、なおかつ異種OSのマルチブートなPC環境のシステムHDDをSSDに複写する話です。

めんどくさいPC引越し

 PC関係の作業で最も大変なのがSSD(機種によってはHDD)の入れ替えだろう。
 特にシステム領域が入っているところはそうで、安いモデルや光学ドライブをもたない機種の場合、DtoD領域といってリカバリディスクの内容が独立したディスク上の区画に用意されている事がしばしばある。で、ここは通常のパーティションとは別になっていて容易にコピーさせてくれないときている。
 うちの場合、長老的立場にいるIBM Thinkpadがこれにあたる。
 こいつは帰省時に活躍するマシンとして使われていたが、購入当時ですら「リフレッシュプログラム」で入手した再生品であり、さらに数年が経過している。富士通製のHDDは時々、以前使っていた東芝かどこかのもののように派手な「ししおどし音」こそしないものの、いいかげん危険だろうと思われた。容量的には30GBと充分なのだが、DtoD領域とサポート用に残してあるWindows XPが次第に大容量を喰ってきているのだ。ついには先日、Windows updateができなくなってしまい、gpartedを使ってLinux領域を少し明け渡し空間を確保したものの、おそらく遠からずまた同じ問題に直面する事が予想されていた。

 そうした状況を打破するため、ひとまわり容量の大きなものと交換する事にした。

作業手順

 入手した新ディスクに現在のディスクの全てをパーティション管理ツールでコピー&調整、その後にディスク交換する。

新ディスクの入手

 何しろ元ディスクが30GBである。なんでもいいわけで、ここは 64GBのSSD を選択した。PATAである(SATAではない)事だけ要注意。

新ディスクの接続

 どういうわけかHDDをUSB接続するケーブルは持っていた。ただこれは2.5インチIDEには対応していないので、変換コネクタを480円で買ってきた。これで接続、起動。うむ、見えている。

gPartedでコピー→失敗(DtoD領域の問題)

 gPartedで起動し、新ディスクに領域コピーしていく。だが、いわゆるリカバリ用のDtoD領域がうまくいかない。DOS領域に見えてしまうようだ。 なまじエラーにならないので始末に悪い。

 これはgPartedの罪ではない。こいつはその名の通りGNU Partitionツールにすぎない。もともとブート領域とかイリーガルな特殊区画はこいつの範疇じゃないだろう。
 ではしかし、どうするのか。
 簡単だ。 賢いツールでダメなら、おバカなツールにやらせればいい。

SelfImageを使う。

 デュプリケータという機械を知っているだろうか?簡単に言えばフロッピーディスクの中身をまんまコピーする機械だ。これはソフトウェアでなく機械的にざっくりやってしまうため、磁気で記録するというフロッピーのセオリーを守っている限り確実にコピーできる。どんな賢いハッカーが優れた暗号化を施しても、その匠の技ごと複写してしまうデュプリケータの前にはどうしようもない。まぁちょっと異論はあるが、だいたいこんなものだと思えばいい。

 ぐぐっていると、SelfImageというツールがこれに近い事をやるらしいと出た。もちろんこれはソフトウェアなのであるが、究極のローテクプログラムで時代遅れのLILO(LInux LOader)がその単純さで未知のOSも起動させてしまえるように、DtoD領域つきのディスクも関係ござらんとコピーできるそうだ。ただし小技には向かないと。

 さっそくSelfImageをもらってきた。
 ただし2011年夏現在、SelfImageを配布しているサイトはひとつしかなく、ここは何か独自の謎のツール経由でインストールさせようとするようだ。こいつは何かマルウェアみたいなものをインストールしようとするし、どうにも挙動が怪しい。英語で◯◯を入れますかと色々聞かれるが、全てソフト本体とは関係ないので全部チェックを外そう。デフォルトですすめると変なものを入れられたうえにポータルも変えられてしまうようなので要注意。で、終わったらSelfImageの領域を別のところに圧縮保存する事をおすすめする。二度と変なものを走らせなくてもいいように。むろんだが前後に全システムのウイルスチェック、マルウェア等のチェックも忘れずに。……あと余談だが、 このへんの意味がよくわからない人は専門家に作業依頼するか市販ツールを使う事をすすめます。よくわからないけどやってみるべ、でやると大変危険!!

 話を戻そう。

 セキュリティ対策をきっちり行い、SelfImageを走らせる。英語でいくつか聞かれるが、物理デバイスごとの複写を選んでほしい。容量が足りないと文句を言われるが、うちの場合30GB→64GBだから問題の出ようはずもない。

 で、まてばブートセクターなどもまとめて複写してくれる。これでSelfImageの仕事は終わりである。

ふたたび gPartedで調整

 SelfImageで複写後、ふたたびgPartedでブート。領域コピーやサイズ調整はやっぱりこっちのお家芸だからだ。

 64GBをうまく使えるよう、Windows側もupdate対策で少し広げる。Linux側もかなり余裕になった。

ディスク交換

 古いThinkpadはディスク交換が大変楽だ。うちの機械の場合、ねじ一本で簡単に引き出せた。蓋にディスクをとりつけ内部コネクタと二点支持。なかなか合理的な作りだ。

 新旧ディスクを交換。もともと2.5インチは重くないが、SSDはそれに輪をかけてスカスカだ。この空っぽな感じのデバイスにたくさんデータが入るのだから面白いものだ。

 交換完了。起動する。

起動

 基本的に構成は変えてないのだから、まずそのまま起動するはずだ。あとは動作チェックしておわり。

感想

 すごく静かで、しかもI/Oがとても速くなった。SSD化は何度目かだが、やはりいい。よほど大容量が必要なケースを除けば、いまやデフォルトでSSDでOKだろう。

(おわり)