声の種類について。

地声(胸声またはチェストボイス)
ミックスボイス
裏声(ファルセット)

 人間の声には複数の種類があります。発声法は千差万別で、皆それぞれ 無意識に違う方式で 声を出しています。これは慣習に(あずか)る事が多いのですが、あまりその詳細は知られていません。

 もっと詳しいページが多々あるので詳しくはそちらを見てほしいのですが、簡単にまとめておきます。

地声(胸声またはチェストボイス)

 成人が会話に使っているとされるノーマルな声です。 全ての人が地声で話しているわけではありません が、まぁ基本という事でこうなっています。私の歌声ももちろんほとんどこちらに属します。

 なお余談ですが、変声期過ぎた男性の多くは、ちょうど平均的な女性より一オクターヴ低い感じの発声になります。

 声帯というのは振動で声を出す仕組みですが、それゆえに高い周波数成分だと負荷が高くなります。だからこそ、声帯が大きくなっている男性は高い声が苦手なのです。ただしユーフォニウムでトランペットの真似ができないかと言えばそういうわけでなく、ひとの声も同様。しかしそれにはもちろん、後述の声を組み合わせたり特殊技能を駆使する必要があります。

 基本的に男女問わず地声は高音域を苦手とします。上の構造を考えれば当たり前なんですが、そこをあえて強引に高音を出す事で裏返して裏声の出し方を覚えたり、地声をむしろ積極的にキャンセルするのに使う事もあります。「声が出ない、だからこそ望む声が出るのだ」言葉にするとほとんど冗談ですが、地声がダメでもシャウトは出るとか「全然何もでないわけではない」ので、こういう真似が可能なのです。

 また女性などで低音に挑戦する時は、地声をベースに喉の緊張を解いて下げていくという方法をとるそうです。

ミックスボイス

 素人的には「どうするんだよこれ」の代名詞な声かもしれません。

 今のひとにわかりやすく言うなら「さかなクンの声」と言えばわかりやすいでしょうか?あの妙にオカマチックで、でも何故かよく似合っているキンキン声ですが、あれがそうです。いわゆるアニメ声の方などもそうですが、地声と裏声が混じって総合的にあのトーンになるのでミックスとかミドルと言います。頭声(ヘッドボイス)という事もあるそうですが、これを裏声の意味で使うところもあるようなので要注意。うちではこの表現は使わないようにしています。

 ただし、それが特別な声と気づかずに普通に日常で使っている人も多いです。何しろ女性の数割はそれと気づかずにミックスで喋っているそうです。さかなクンも普段からあの声だそうですし、彼もおそらく特別な声とは意識してないのでしょう。

 また電話口やアナウンス等で声のトーンが無意識にあがる人も、結果としてミックスでしゃべっている事が多いのです。緊張すると喉が少し締まるのですが、これがつまりミックスボイスの発声法そのままなのですから。逆にいうと、あがり癖を直せば緊張時のアニメ声は治せます。(でも、受付のお姉さんがアニメ声なのはなんだか癒される気がするので、治って欲しくないなぁ…)。

 もっと昔の人ならTVアニメ『六神合体ゴッドマーズ』の「ゴッドマァーーーズ!」って叫び声なんかもそうですね。いわゆるアニメ声はミックスや裏声がよく使われるので、サンプルにはもってこいです。

 ミックスを高くしていくと、掠れたりそのまま裏声に突入する事があります。このギリギリの領域は地声の境界線同様、鍛えると色々と芸をするようです。

 逆にいうと、裏声を出しておいてそのまま音程をさげていくのも手です。未熟な裏声では基本的に下の声が出ないんですが、これを逆用します。何度か強引に下げていると「自分のようで自分じゃない妙に甲高めの声」が普通に出せるはずです。つまりそこがミックスの領域です。慣れると普通に発声できるようになります。

 ミックスは低音が弱いんですが、裏声よりもはるかに柔軟で、いわゆるイケメン声やヅカ声などもこの領域となるようです。地声と裏声のミックス度合いやその他で多彩な声が作れるからのようですが、その方程式はむしろ私が知りたいほどなので「そうらしい」としか言えません。ごめんなさい。

裏声(ファルセット)

 声帯というのは筋肉の一種で、疲労もするし筋肉痛も起こします。そして、たとえば高い声を出して喉に負荷をかけようとすると「無理させようとするとストライキを起こして弁を全閉してしまう」という特技も持っています。

 これが「裏返る」という現象です。

 それでも全く振動しないわけじゃないようなんですが、これだけではとても足りない。このため声はほんのわずかな振動部や喉、口などに頼って声を制御するしかなくなります。そう、裏声とは元来、故障防止のための人体のセーフティーバーなのです。

 しかし人間とはたくましいもので、この裏声を使って様々な声を出す事は世界中で行われています。たとえば、鳥の声のような超甲高い声があるのですが、バード・トークといって山の中で超遠距離会話をするのにこれを使う人々がいます。同様に同じような甲高い声をホイッスルといって声楽でも使うようなんですが、どちらも男女同様に使用可能で、それは裏声の上にあるようです。これらの技術は地味なポップスからド派手な音楽まで今日広く使われています。ぶっちゃけ、今も昔も西洋音楽のボーカルに裏声は欠かせません。

 このように裏声はボーカルやるなら是非必須。以下の特徴があります。

 このような感じです。

 さて、あなたの声はどれでしょう。

 知ってるようでほとんどの人が知らない、自分自身の声。この機会に調べてみるのも、また面白いと思いますよ XD